創作「水からの伝言」の恐怖4(終)

それでも,私は夫の「バカヤロウ」におびえていました.あの日以降,現場を押さえて夫を止めるために私は夜寝ないようにしました.しかし,私が起きていると夫は何もしてこないのです.そのときは体の具合は悪くなりません.たまに,私が寝てしまうと,体の具合が悪くなるのです.これは,夫が私の寝たのを確認してから「バカヤロウ」と言っていると言うことです.これはとても恐ろしくて悲しいことです。私は夜ベッドの中で私が眠るのを待っているであろう夫に怯えながら、完全な寝たフリをして夫が起き出し「バカヤロウ」と言い始めるのを待ちました。

しかし,2ヶ月後くらいだったでしょうか,その日私はうっかり寝てしまいました.その日は誕生日で二人でお酒を飲んだせいかもしれません.でも,次の日全く具合が悪くならなかったのです.

どうしたことでしょう。夫は私を殺すことを諦めたのでしょうか。しかし私はまだ信じられず、夫はたまたまその日は「バカヤロウ」を言わなかったのだろうと思い、数日間は夜起き続けました。それでもやはり夫を信じたい、信じるべきだという気持ちを押さえられず、また寝てみました。
しかし、その日も夫は「バカヤロウ」を言わなかったようです。次の日の私の具合は悪くなかったので。念の為さらに2日間続けましたが、全く身体の具合は悪くなりません。
でも、これを夫が「バカヤロウ」と言っていないからと結論づけられません。私が綺麗な言葉をかけているからなのかもしれないからです。
そこで、前回お知らせしたものを全て止めてみました。
つまり、私は「バカヤロウ」に全くの無防備な状態になりました。
これも、3日間続けました。しかし、私の具合は全く悪くなりません。
そこで確信しました。私は勝ったのです。




これで終りです。
私は何故勝てたのか、全く分かりません。「水からの伝言」の綺麗な言葉の成果に夫の不倫相手が諦めたのかもしれませんし(不倫相手については確証が掴めませんでしたが、きっといた筈です)、夫が自主的に戻ってきてくれたのかもしれません。とにかく夫婦の平和は守れました。表面上夫は何も言ってきませんし私も何も言っていません。でも私は夫を許しています。「バカヤロウ」を止めて私の元に戻ってきたのですから。


でも、次は無いと思います。今度夫やもっと頭の良い人がもっとすごい(例えば科学的な水からの伝言)やり方をすれば、私のようなバカには勝てないと思うからです。

これは本当のことです。科学的ではないかもしれませんが、真実なのです。馬鹿なことと思うわないでください。
私は夫に殺されかけたのです!


水からの伝言」は真実なのですが、決して良い話ではありません。恐ろしいことなのです。本当に実害があったのです。ですから、私のような被害者をこれ以上出さないためにも、この「水からの伝言」を事実として広めないでください。
どうかお願いします。