道徳

http://www.asahi.com/national/update/0410/SEB200804090016.html
道徳のテストがあったよって話.かなり否定的な論調で,テスト結果を見た親の「子どもの心を数字で表すことはできないはず」という発言も載っていた.はてぶとか見ても,テストそのものに対する批判と道徳という教科に対する批判の両方があるようだ.親の主張は前者なんだろうと思う.


しかし,そんなにひどい話かな.
道徳心というのが大人になって必要なものなのだと思うし,それを教えることにどんな問題があるのだろう?


問題点の一つに,一方的な価値観を押しつけるからよくないというのがあるようだ.
道徳というのはアカデミックには倫理学にあたるだろう.私は倫理学には明るくなくて現代倫理学入門 (講談社学術文庫)とか入門的なものを読んでいるくらいなんだけれども,この学問はいろんな人が価値観を戦わせる価値観バトル大会であるらしい.勝敗基準はよくわからなかったが,価値観にはよりよい価値観というものはあるようで,戦いの中から良いものを探していこうとしているらしい.一方で,素人倫理学を私たちは持っている.要は私たちの経験や観察から得た価値観ってことなんだけれども.で,子供が持っている素人倫理学とは別な価値観があるということを知らせ,価値観バトル大会をさせることは重要だと思うけどな.要は,道徳心なんてものはそれぞれの経験とかから作られるもので,一方的に押しつけるものじゃないんだよとかいうけど,素の道徳心なんてものは別の道徳心と戦ってよくしないといけないものなんでないのか,そうであるならば,ある価値観を与えることは子供の道徳心をよりよくするために必要なんでないのかと思ったと言うこと.

それで,テスト化については,おまえはどう思うかじゃなくて,この価値観を持った人間を想定したときにどう思うかを訊いているのだから,内心の自由的にも特に問題ないと思うし,異なる価値観を持った人がどう思うかを想定するのは大事なことだからテストすることは意味があると思う.


まあ,正直コールバーグのテストで良いじゃんとか思ったけど.