浦山 明俊「東京百鬼―陰陽師・石田千尋の事件簿」

浦山 明俊の「東京百鬼―陰陽師石田千尋の事件簿」を読了。
現代の陰陽師と呼ばれる石田千尋氏をモデルにした伝奇物の連作集。


注)以下はリアルの石田氏を知らず、かつメディアでも見たことがなく、この本で初めて氏の存在を知った人間がこの本の感想を書いたものです。氏を知っていれば、また別の感想を抱くかもしれません。

まず、読み終わったときの私はこの本に対する評価がかなり低いものだった。しかし、落ち着いてみればそれほど低くはない。
帯やら解説やらで素晴らしいと異常な程持ち上げられていたのでかなり期待して読んだためだと思う。


陰陽師の石田と秘書の小島が依頼をこなすという話だ。依頼は霊障に関する奇妙なもので、それを石田が陰陽師の業で解決するという話。


ホラーという程怖くは無かった。伝奇物と呼ばれるジャンルだと思う。

思春期の少年少女むけの小説(ラノベ?というのか)や漫画では「現代社会にいる陰陽師」というのは良くみるので、設定には珍しさはなかった。石田のキャラクターも、ブランドもの(現代らしさのアピール?)を身に着け、関西弁を喋り面白くない冗談をいう少しエキセントリックな人だという設定なのは分かったが、それだけで何かものたりなかった。


ラノベとしてはよく見る普通の作品だった。
売りは石田千尋という実在の人物を使ったということだと思うが、筆者が氏の友人であるとしかなく、この小説で石田氏を使う必然性が分からない。細木氏や江原氏や他のオカルト系の人でも良いように思った。


石田氏から見れば宣伝となって良いのかとは思う。少女漫画で、実在のアイドルをモデルにした作品があるが、これはプロモーション小説なんだろうと思った。

東京百鬼―陰陽師・石田千尋の事件簿 (祥伝社文庫)

東京百鬼―陰陽師・石田千尋の事件簿 (祥伝社文庫)