ジョン・ディクスン・カー「火刑法廷」

ジョン・ディクスン・カーの「火刑法廷」を読了。
密室モノの長編推理小説

妻と似過ぎた、17世紀に死刑となった毒殺犯の写真を、有名作家の原稿で見つけてしまった主人公。疑心暗鬼になってしまう主人公と怪しげな言動を行う妻のぎこちない雰囲気の中、さらに隣人である旧家で不可解な事件が起こった。亡くなった老人は、幽霊に殺されたのか?不可解なおどろおどろしい雰囲気のもとに話は進められる。


カーの作品は3冊目(「魔女の隠れ家 (創元推理文庫 118-16)」「皇帝のかぎ煙草入れ (創元推理文庫 118-11)」)だが、初めて凄いと思った。
カーは怪奇小説の大御所だと思って読んだのだが、「皇帝の嗅煙草入」は、おどろおどろしさがなくて拍子抜けしたし、「魔女の隠れ家」はおどろおどろしさはおまけ程度に感じられた。
そのため、両方ともあまり怖くなかった。
しかし、この作品は怪奇小説の怖さと推理小説の明快さの両方を充分に味わえる物だった。


正直に言えば、途中まで推理小説だとは思わなかった。怪奇小説として、面白かったので、こういうのもアリかと思っていた。
だから、謎解きがあって安心して推理小説だと思えた。そして、オチでさらに面白くなった。

火刑法廷 (ハヤカワ・ミステリ文庫 5-1)

火刑法廷 (ハヤカワ・ミステリ文庫 5-1)