西村京太郎「名探偵なんか怖くない」

西村京太郎の「名探偵なんか怖くない」を読了。
長編推理小説


大富豪の佐藤が3億円事件の犯人を作りだし、観察するというゲームをはじめた。オリジナルの犯人の特徴と呼ばれるモノを持った青年村越がターゲットとして選ばれ、お膳立てされたまま罠とも知らず3億円事件とそっくりに佐藤の3億円を強奪してしまう。
さらに佐藤は往年の名探偵クイーン、ポワロ、メグレ、明智を呼び集め、3億円もの大金を強奪した青年の行動予測を依頼する。しかし、このゲームの最中に殺人事件が起こる。


作者の初期の作品である。十津川警部も、時刻表トリックも出てこない。トラベルミステリと言えば西村京太郎と思っていたが、初期は本格派だったそうだ


また、この作品は老いた名探偵の共演がテーマだからもあるが、注意もなしに過去の名作のネタバレが多過ぎる。ポワロのオリエンタル急行殺人事件なんて、あのトリックを知ってしまったら何を楽しみに読むと言うのか。ラッキーな事にポワロに関しては小学生の頃からテレビや小説で知っていたので、被害がなかったが、後はほぼ全滅だった。
悪い事は言わないから、この4人の作品を読んでいなくてかつミステリのネタバレする奴は地獄に落ちろと思う傾向にある人は、先にあらかた読んだ上でこの作品を読むことをお勧めする。


ラストの犯人がどうもおかしく感じるので謎解きものとしてもにょもにょ感が残るが(以下ネタバレ部分あり注意:なぜ佐藤は友達の神埼の素顔を知らないのか?神崎・村越同一人物説が出れば一番疑われるだろうに、オレンジジュースを用意するくらい用意周到なら当然気をつけるはずではないのか)、魅力的な探偵を楽しめたので面白かった。

新版 名探偵なんか怖くない (講談社文庫)

新版 名探偵なんか怖くない (講談社文庫)